「秋の日の釣瓶(つるべ)落とし」ということわざがあります。秋の日は、井戸の釣瓶が落ちるように早く沈み、暮れてしまう。
夕暮れが早いことのたとえです。
めでたく卒寿を迎えた実母ですが、ここ数カ月、身体・認知機能ともに目に見えて衰えてきました。年初にはつえを使わず一人ですたすた歩き回り、笑顔で外食も楽しんでいたのですが、室内でも支えがないと歩行が難しくなりました。先日は顔に痛々しい大きなあざ。夜中にトイレに立ち転倒したようです。
何よりも顔の表情が乏しくなりました。話しかけても、ほぼ笑顔が見えなくなったことに一抹の寂しさを覚えます。人間は晩年、一人で生きる能力を否応もなく奪われていきます。あたかも晩秋の夕暮れのよう。あっという間に命の光が失われていくようです。
そんな心細い人生の晩秋に手を差し伸べてくれるヘルパーさん、福祉関係者の皆さんには本当に頭が下がります。ただただ感謝です。