コロナ禍でしばらく活動を見合わせていたさまざまな福祉団体が、慎重に動き始めているようです。私が勤める金融機関にも最近、助成金への問い合わせが相次いでいます。

 「まだ本年度の助成概要は、決まっておりません」と伝えるが、「助成金を見込んで活動しています。何とかなりませんか」と食い下がる。「申し訳ありませんが、ホームページでアナウンスするまで、しばらくお待ちください」。公平性を保つため理解を求めます。

 崇高な理念を持ち、活動に取り組む福祉団体の皆さんには、心底頭が下がります。ただ、いささか気掛かりなのは、福祉団体の多くが、活動資金を他者に依存し過ぎているのではと感じることです。

 助成の可否を判断する面談では、活動の理念をとうとうと訴えてきます。こちらも心をまっさらにして耳を傾けますが、何かひっかかります。理念は立派なのですが、つまるところは「自分たちは社会に役立っている。だからお金をもらって当然」とも聞こえてしまうのです。ときに、全く自己資金を用意せず、活動に臨もうとしている団体もあります。

 助成金の原資は、お客さまからお預かりした預金や融資の金利収入などです。お客さまの大切なお金を、そうやすやすと提供するわけにもいきません。国や自治体など公的な助成金も、原資は私たちの税金です。

 国連のSDGs(持続可能な開発目標)が日本社会にも広がってきたように、福祉活動や地域貢献にも「持続性」が求められる時代です。最低限の活動資金を自身で得られなければ、持続的な活動はありえません。長期的な視野が必要です。持続性とは言い換えれば、腰を据えて現実と向き合う覚悟ができているかどうかではないでしょうか。

 近年は、資金調達に購入型クラウドファンディングを活用する団体も増えています。これも立派な自助努力です。がんばっている皆さんには、全力でサポートしたくなります。