六十五歳以上のワクチン接種が始まりましたが、いまだに母は予約すらとれていません。そうこうしているうちに地元新聞の一面に、大手ドラッグストアの経営者夫妻が、ワクチンの早期接種のため、行政に圧力をかけたとの報道が。行政と企業双方が陳謝するという事態に至りました。
以前、この経営者夫妻から、地域に対する思いを聞く機会もあったので、ひときわ残念なものがありました。当該企業の広報担当者は「夫人に疾病があったので」と釈明していますが、高齢になれば、誰しもなんらかの病気があるものです。ちなみに私の母も、毎日抗がん剤を服用しながら生活しています。
「ノーレス・オブリージュ」という言葉を思い出します。身分の高い人は、相応の責務を果たさなければならない、社会的義務・責任があるというフランス語です。肉体は自然に老化していきます。しかし理想通りに、齢(よわい)を重ねるとは難しいものです。